公益法人のステークホルダーから法令を読み解く その3「所轄行政」

公益法人には、さまざまなステークホルダーが存在します。

 

今日は、その数あるうちの、所轄行政について法令と照らし合わします。

 

公益法人を難しくしている要因の一つが、この「行政」という存在です。

 

現在、公益法人を管轄しているのが、「内閣府」と「地方自治体」です。

法人が、全国各地に点在している場合、「内閣府」が管轄し、
一箇所だけ構えている場合、その都道府県の「自治体」が管轄しています。

 

ざっくり例えると、一般企業の税務署的な存在とも言えるでしょう。

公益法人と一般企業の大きな違い

 

一般企業の場合、主に「税金」が行政と関わるものになります。

公益法人の場合、支払う「税金」収入のうち「税金が免除」されるもの、のように、2方向のやりとりが存在します。

これが、一般企業と大きな違いです。

 

また、行う「事業」も、一般企業の場合、利益を得るために行われますが、
公益法人の場合、行政に成り代わって「公益目的事業」をおこなっています。

稀に、一般企業の事業の中で、許認可が必要な場合がありますが、
これは、事業を行う技術的な担保を保証する意味合いによるものです。

公益法人が行う「公益目的事業」が、より、行政の仕事を補完しているのです。

 

このように、一般企業は監視される存在で、
公益法人は、行政と共に事業を行う存在であるのです。

 

公益認定取得とは

 

行政は、どのように、公益目的事業を行う公益法人を選ぶのでしょうか。

それは、そのを事業を行う公益法人が申請し、行政がお墨付きをつけ、毎年、事業内容をチェックしていく、という仕組みで選定されています。

これが、「公益認定取得」であり、毎年行政に提出しなければならない「定期提出書類」、数年に一度行われる「定期検査」と言われるものです。

法令では、この「公益認定」と「定期提出書類」や「定期検査」の取り決めがされています。

また、行政側にも、公益認定を行う組織として「公益認定等委員会」が各自治体に設置するよう、この法令で定められているのです。

 

これらは「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(認定法)」によって、まとめられています。

 

公益認定取得を考えている団体は、まずはこの法令に沿って手続きを踏む必要があります。

今まで、一般法人だったが公益認定を取得する場合、一旦組織を閉じて、翌日に新たな法人として登記することになります。

一般社団法人や一般財団法人が、公益認定申請を行い、精査され、「公益認定等委員会」で承認されると、晴れて「公益社団法人」「公益財団法人」として、生まれ変わるからです。

 

法人の定款、会計の仕組み、役員の規制など、求められる要件が多岐に渡るので、ここは、専門家と一緒に検討していくことをお勧めしています。

 

公益法人は、たくさんのステークホルダーからチェックされている

 

一般企業の場合、厳しくチェックする存在として、「税務署」が挙げられます。

借入している場合、その金融機関であったり、取引先の信用チェックとして財務諸表を確認されることがありますが、たとえ失敗しても、法人自体を取り潰すことは、まずあり得ません。

 

しかし、公益認定取得した、公益社団法人や公益財団法人は、行政から不適格と決定されてた場合、「認定取り消し」という処分を受け、その団体は一旦解散することになってしまいます。

時代劇的に言えば、「藩とりづぶし」です。

現実的には、一回の判断で厳しい処分を受けることは、まずありえません。

しかし、行政指導で改善されない場合、本当に「公益認定取り消し処分」は行われるのです。

 

このように、税制上優遇されている「公益社団法人」「公益財団法人」は、事業内容も、財産保有にも、役員の制限など、多くの制約がかけられています。

また、行政に限らず、会員からの厳しいチェックも受けるなど、多方面から多くの要望を受け取ることが求められています。

 

法人を運営する際、これらの法令に遵守しているか、常にチェックしていくことが大切です。

そのゆえ、公益法人は難しく、大変だと言われる所以でしょう。

公益法人の設立運営には、公益法人に特化した専門家と相談することをお勧めします。

タイトルとURLをコピーしました