年の瀬が近づいてきました。
3月決算の団体においては、そろそろ予算を作る時期が近づいてきたのではないでしょうか。
公益法人では、予算書も決算書も、すべて理事会や総会で承認を得る必要があります。
そのため、気楽に作って、「はい、終わり」と行きません。
しかし、事務局においては、ただでさえ日常の処理に追われていることが多く、毎年の予算書作成に時間を割くことが難しいようです。
それでも、予算書は、団体にとってこれからの道しるべとなり得る大事なツールです。
例年行われる事業を、ただ繰り返しさえしていればよかった頃と違い、これからは外部環境の変化により、実施する事業の形態も変化せざる得ない可能性もはらんできます。
これからの時代にあった予算書を作成する際、どんなことに気を付けたらいいのか、いくつか挙げてみます。
前年度の予算書をそのまま引用する
前年の数字をそのまま引用しただけで、予算書を完成させることは、予算を事務局員に丸投げしていることを示しています。
おそらく、今まで予実管理をしていなかったかもしれません。
予算書が、単なる行政に提出する資料になってしまい、本来の役割を果たせずにいる状態です。
このまま、翌年度も同様の事業を進めていくのであれば、いたしかないかもしれません。
しかし、急遽事業を撤退することになったり、そこまでいかなくても、契約内容の変更など生じた場合、経費の支出も見直す必要もでてきます。
予算書を作成するとき、本当に来期も事業を進められるのかを、見直す機会を作っていただくとよいと思います。
都合の悪い数字を加工する
「利益がでると、まずい」「赤字が続いているから、まずい」
といった都合の悪いことを、予算書の数字を鉛筆をなめるように調整することもあるようです。
確かに、当座は外部から指摘を受けることはなく、時間を稼ぐことができます。
しかし、本来は、この都合の悪いことが起こったときに、様々なことを見直したり、てこ入れするために外部に交渉したり、やることがあるはずなのです。
せっかくの改善できる機会を、摩擦を避けるために数字を加工することは、団体にとって健全な運営から離れてしまうことになるので、避けていただきたことです。
決算書と異なる様式で作成する
よく見られるのが、公益法人会計基準を導入する以前の様式を、使いまわしている予算書です。
確かに、役員や会員に説明するのに、以前からの様式を利用することで、楽になるかもしれません。
しかし、人間は不思議なことで、目から入ってくる変化がないと、世間との乖離が生じてしまうもので、役員や会員が現状において正しい判断ができないというリスクをはらんでいるのです。
確かに、会議のたびに、新しくなった会計基準の説明をするのは、面倒なことです。とにかく、新会計基準は複雑で、会計の基礎知識のない人に理解していただくのは難儀です。
決議に必要な情報を説明するのは、事務局の大事な仕事です。
1回の説明で、理解していただけなくても、何回か説明を聞いていただくことで、人は必ず、変化することを受け入れるようになります。
翌年度の予算書は、じっくりと腰を据えて、取り組んでいただくといいことがあるかもしれません。
問題提議のできる事務局に、周囲は一目置くようになるでしょう。