公益法人には、さまざまな規制がかけられています。
まずは、法律から。
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」
「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」
長いですね。
それぞれ、「法人法」「認定法」「整備法」と、略させていただきます。
また、会計基準もあります。
「公益法人会計基準」
公益法人を理解するためには、これらの法律や会計基準を理解する必要がありますが、法律から直接読み込むことは、非常にわかりにくいため、ついつい専門家に任せてしまいます。
それは、正しい対処の仕方ですが、逆引き的な解説があれば、少しは皆様のお役に立てるかもしれません。
公益法人を取り巻くステークホルダーごとに、焦点を当ててみると、法律の内容が分かりやすくなると思います。
ステークホルダーには、「利用者」「会員」「所轄行政」の大まかに3パターンに分けられます。
それぞれの視点から、公益法人がどのような規制がかけられているのかを、3回に分けて整理してみます。
今回は、「利用者」の視点から見た法律を紐解きます。
利用者とは、ここでは、公益法人が行う、公益目的事業の恩恵を受ける人々と定義しておきます。
利用者が、安心して恩恵を受けるためには、団体が存続していくことが大前提です。
そのためには、まずは、財政がしっかりしていることが大切です。
一般財団法人は、正味財産を300万円を下っててはならない。 (法人法 第153条2項)
一般財団法人は、設立時に拠出する金額の下限が決められています。
設立者一人当たり、300万円です。
この拠出された金額を元手に、資産運用益を得てそれを活動原資とします。
これによって、公益事業が存続されていくのです。
一般財団法人とは、集まった「お金」に法人格をつけているイメージで捉えていただけると良いかもしれません。
ちなにみ、一般社団法人は、集まった「人」に法人格を与えられています。
このように、集まった社員が行う事業・活動に重きを置いた法人なので、財団法人のような、金銭上の厳密な決まりはありません。
しかし、財政を安定化させることはどこも必要なので、一般社団法人には「基金」という制度が認められています。
これは、設立時の資金を、収入とせず、一つの財産として保有し、事業資金が安定化したら償還するようになっています。
ちゃんとした公益事業は、行政から認定されている (認定法)
利用者にとって、受けるサービスが、適正かどうか、推しはかる方法があります。
それは、その法人名の最初に「公益」と名乗っているかどうかです。
「一般社団法人」「一般公益法人」の中でも、ちゃんと公益事業を行っている団体はあります。
その中から、行政に「公益認定」の申請をし、認められた団体には、
「公益社団法人」「公益財団法人」として、生まれ変わるのです。
「公益認定」を取得するためには、さまざまなハードルを越える必要があります。
利用者にとって、直接影響があるものとして、
「公益目的事業の種類」と「公益目的事業で財産を成していないか」の2点だと思います。
公益目的事業の種類
公益目的事業として、認められているものは23種類あります。
この23事業に当てはまったものは、公益目的事業として認められます。
これらの事業であれば、公益認定を取得していない一般財団(社団)法人が行っても、公益性が高いものであると判断することができます。
収支相償
公益認定を取得した、公益財団(社団)法人は、公益目的事業の資金を、全て事業に利用しなければならない、というものです。
つまり、公益目的事業で利益が出た場合、その利益分の金額を、必ず使い切る必要があり、団体の内部留保をして、他の事業に使用しないようにするのです。
かつて、旧民放時代の財団法人が、事業で得た利益で、私服を肥やしていたことが問題になり、それを防ぐために作られた制度です。
これにより、利用者が料金等の支払をして、サービスの恩恵を受ける場合、支払ったものがきちんと事業資金として、運用されていることが担保されるわけです。
まとめ
ここに挙げたものは、法律の中での、ほんのわずかな部分です。
最終的には、専門家にご相談していただく必要があります。
公益法人がどのようなものなのか、垣間見ることができたら、幸いです。
当事務所には、経験豊富な専門家が揃っております。
ご質問等、ございましたら、遠慮なくお問合せください。